2016年2月25日、奈良県の小学校6年生に授業をしてきました。
担当の先生が、事前学習をにしっかりとしていて、非常に勉強になりました。
これから小学生向けに授業をしようと思っている、という方にも参考となると思うので、資料の共有をお願いしたところ快く送っていただきました。
(※一部のデータは、個人を特定できないように変更しています。)
学習指導案(画像をクリックすると、Google driveからダウンロード可能です)
ポイントは、先生自身の経験をもとに資料を作成しているところでしょうか。
一緒に過ごすことの多い担任の先生のエピソードだからこそ、子どもたちにも身近に感じられるのだと思います。
先生の経験をもとに作成されたワーク(画像をクリックすると、Google driveからダウンロード可能です)
生徒の感想が秀逸だったので、紹介したいと思います。
”…
私がこの学習でもう一つ興味を持ったのは「言葉」です。
言葉は、あるときは人を傷つけたり悲しませたり、あるときは人を嬉しい気持ちにできたり、笑顔にしたり、たくさん心がつまっていると思います。そこで、辞書で「性」と「普通」を調べました。
「性」は男女のくべつと書いてありました。でも私は違うと思います。この文を見て、人が傷つくことがあるんじゃないかと思います。性は2つじゃない一人一人違うと考えるだけで見える世界は一しゅんで変わります。
次に「普通」はほかと比べてとくに変わっていないことと書いてありました。でも、一人一人自分にとっての普通は違うし、考え方も全然違います。だから、性的マイノリティーは普通じゃないという考え方は絶対したくありません。これから、私はもっともっと世界中が幸せで笑顔の花が満開になるよう信頼の芽が出るように頑張ります。”
辞書を引き、辞書の中身をも精査できる能力。辞書に対し『違うんじゃないか?』と論理的に自分の意見を書ける能力。
そして、指導した先生の意図を(おそらく完璧に)理解したうえで、自分なりの、”普通”に対する考えを再考し、それを文章にする能力。
すごい生徒だなぁ、と只々関心するばかりでした。
実は、この生徒の感想は、僕らが出前授業に行く前、つまり事前学習の時点での感想です。
僕らの話を聞いて、僕らの日常の話や、つらかった過去や、それを乗り越えた今を聞いて、何か感じることがあったら嬉しいな、と思います。
もちろん、学校へ講演に行った際には、そういう子ばかりではないですが…
僕が、講演に行って感じるのは、
小学生 < 中学生 < 高校生 < 保護者 < 先生
と年齢を重ねるほど、ロジックでは理解できても、自分の中にある嫌悪感や抵抗感は払しょくできない人が多くなります。
「小学校からLGBTの授業って早くない?」と聞かれることもありますが、
「大人になってから、LGBTのことをはじめて知って、自分の”普通”で、それまでたくさん人を傷つける方が、最悪じゃない?」と僕は、そう思います。
「あなたの普通は、僕の普通と違う。普通ってなんだろうね」
多様な性に考えるということは、それぞれの”普通”を知って、楽しんでいく生きていく作業なのかもしれません。